last modified on [2003-02-20 04.37 (JST: GMT+0900) @859]
Author: 河本孝之 (Takayuki Kawamoto, aka philsci);
1st appeared on 7th April, 2001;
Revised on [9th, 13th April, 2001], [16th-18th April, 2002], and [20th February, 2003].
Acknowledgement: thanks to ayamame, Fizz.oO, Fuji, hideh, Toshiyuki Itakura, Naoto Kanzaki, ken, Ks, ManiMani, Yusuke Mizukoshi, N&R, Hirohisa Teramoto, Taro "O_SAKANA" Todoroki, and especially to the LiteStep Documentation Effort Team.
Copyright©2000-2003 by Takayuki KAWAMOTO.
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LiteStep を公開するやり方には、これまでのページで何度か述べたように幾つかの形式あるいはスタイルがあります。特にこれが良いと決まっているわけではなく、それぞれの目的にふさわしい仕方で自由に公開されています。しかし、あまりに色々な仕方で公開されているためエントリーユーザーはどれをはじめに使うべきか迷うかもしれません。
大きく分けて、LiteStep の公開形式には次のようなものがあります。
後で述べるように本チュートリアルは三番目の「ビルド」を使って解説していきますが、他の配布形態(これも "distribution" と言います)もそれぞれ優れた点がありますから、ここで説明すると共に簡単な紹介をしておこうと思います。もしテーマやディストリビューションでいいという方は、まず試しにそれらを使ってみてから分からない点をこのチュートリアルで補って下さい。
"distribution" (配布, 新聞配達)という言葉が示すとおり、ディストリビューションには LiteStep を多くの人に配布して気軽に使ってもらうための色々なアイディアが採用されています。大雑把に言えば、ディストリビューションとは「ビルド + 幾つかのテーマ + インストーラ」ということになります。テーマだけ、もしくはビルドだけで LiteStep のシステムを作る場合の利点は失われますが、ビルドやテーマと比較した場合に次のような特徴があります。
もちろん個人でディストリビューションを公開している人もいますし、テーマチェンジャーが付属しないディストリビューションもありますが、おおよそテーマやビルドよりもエントリーユーザー向けに考えられて作成されているようです。
最も古いディストリビューションは、恐らく LSNow! とか LiteStep 0.24.5 の「公式版」と呼ばれた LiteStep でしょう。後者のディストリビューションには、(あまり評判はよくありませんでしたが)tin_omen さんの制作したテーマがデフォルトで採用されていました。LiteStep 本体のヴァージョンが既にかなり古いという理由もあって、いま 0.24.5 のディストリビューションを使っている人はあまりいないと思いますが、あの国会でも取り上げられた『バトルロワイヤル』という映画のワンシーンに tin_omen さんのテーマを使ったラップトップの画面が出て、なぜか海外のユーザーだけ話題にしているという不思議な現象もありました(笑。
さて主なディストリビューションとしては、次のようなものがあります。
おおむね、ディストリビューションにはこういったたくさんの種類があります。しかしながら、このチュートリアルで LiteStep のインストール手順を解説しようとする場合、ディストリビューションを使って説明するというやり方には(ディストリビューション自身の問題ではありませんが)幾つかの問題があります。
まずディストリビューター(ディストリビューションの作者)がそれの公開を止めてしまったり、あるいは開発そのものを中断すると、LSNow のように古い仕様のままで使っていただくことになります。当然ながら、そうしたディストリビューションに合わせて作るチュートリアルも古い仕様の LiteStep をそのまま解説し続けなければなりません。これに対して、ウェブ上で展開されている LiteStep の話題は最新のベータ版(ビルド)に関するものが多いので、いづれにせよあなたは現状の古いヴァージョンやディストリビューションで満足できなくなるかもしれません(俗にそれを「ハマる」と言います<笑)。すると、遅かれ早かれあなたは LiteStep をアップデートする方法(これから解説するインストールの手順が、まさに LiteStep をアップデートする手順ともほぼ重なります)をについて調べざるを得なくなるでしょう。
もちろん古いヴァージョンであっても、動作に問題がなければそれを使うことに誰も反対しません。最新ベータ版のさまざまな不具合にたびたび悩まされるくらいなら、数多くのユーザーによって検証されている少し古いディストリビューションを使う方が、あなたにとってよいかもしれないからです。実際、僕はこのチュートリアルでベータ版を使ったインストール手順を解説するわけですが、決して古いヴァージョンやディストリビューション「よりもいい」と言いたいのではありません。
いま述べたように、このチュートリアルはできるだけ安定した最新版の LiteStep を手動でインストールする方法を解説します。これから説明する手順を追っていただければ、インストーラー(自動でソフトウェアをインストールするプログラム)なしでも LiteStep をインストールできるでしょう。また、LiteStep のコア・ファイルをアップデートする場合も同じような方法を使いますから、以下の手順を知っておけば、インストーラー付きのディストリビューションをインストールした後でコア・ファイルだけをアップデートする時の参考になるでしょう。LiteStep の導入方法はいろいろあります。しかしディストリビューション毎のやり方を全て解説するのは無駄が多く、また LiteStep そのものだけでなくディストリビューションのアップデートという作業にも依存するため、僕のような第三者が紹介するチュートリアルで内容をフォローするのは適切ではないと判断しました。要するに「ディストリビューションとして」公開するなら、初心者向けにチュートリアルを用意するのはディストリビューターの役目だというわけです。確かにフリーソフトウェアを扱う場合に、そういった懇切丁寧な説明をする責任は誰にもありませんが、いくらディストリビューションの作成がソフトウェアの制作よりも簡単だからといって、十分なドキュメントなしに乱造されても困ります。
しかし、ディストリビューションは LiteStep のようなソフトウェアをはじめて使ってもらう場合にふさわしい手軽な方法だと言えるでしょう。もしここで長々と書いているようなチュートリアルを読まなければ LiteStep を使えないというなら、多くの人は LiteStep を導入することに躊躇してしまうでしょう。誰しもはじめて使うソフトウェアに信頼など置いていませんから、「使い物になるかどうか分からないのに準備だけはかかる」というのでは困ります。正直なところ、ごく普通の人は LiteStep ヲタクになるつもりで使い始めるわけではありませんし業務に必要なわけでもありませんから、不必要な忍耐を強いるのはよくないことです。
こういう次第で、このチュートリアルは「最初からチュートリアルを読み通す熱心さ」を前提しているわけではありませんし、その必要などありません。まず手軽にディストリビューションを使ってもらって、細かい設定をしたいけどよく分からないという場合にどこかのページを見ていただければよいと思います。もちろんここで解説する、ちょっと意味は違いますが「スクラッチ・アンド・ビルド」のやり方をざっとご覧になってからディストリビューションを導入するのもよいでしょう。
「テーマ(theme)」は、用語の解説でも述べましたが、ユーザーそれぞれのデスクトップ環境を指しています。あなたが自分で使い易いようにカスタマイズしているなら、それであなたの「テーマに沿った」デスクトップ環境なので、別に公開して配布するしないの区別なくテーマと言えます。ここでは、そういった広い(というか本来の)意味ではなく、「他のユーザーにも使ってもらおうと意図して作成されたデスクトップ環境の素材」を取り上げます。
Windows には、既に Plus! で導入できる「デスクトップ・テーマ」があります。Windows の起動音といったサウンドのセットや壁紙あるいはウインドウを描画するシステムカラーの配色などをひとまとまりの「テーマ」としてレジストリに登録し、「画面のプロパティ」で一斉に切り替えられるようになっています。しかし、互換シェルでデスクトップ環境を構築するのに比べて Plus! によるテーマの切り替えは殆ど表面的なものに留まり、"look and feel" の "look" ("feel" に聴覚など他の感覚を入れるなら "feel" の一部も含む)を切り換えるだけになっています。どれほど探してもスタートメニューを消してしまう Plus! のテーマなど見つかりはしませんし、Plus! に依存しないで配布されているデスクトップ・テーマでもカスタマイズできる範囲は Plus! でカスタマイズできる範囲と正確に同じです。
Windows XP ではテーマを適用することでユーザーインターフェイスの(特に見た目の)描画が変わるため、テーマを扱う専用のサービス(UNIX/GNU Linux で言う「デーモン」のような、システム関連の常駐プログラム)が起動します。また、テーマファイルはレジストリではなく Documents and Settings のマイ ドキュメント・フォルダに保存されます。
これに対し、LiteStep や他の互換シェルで使われるテーマは個々の互換シェルに対応して公開・配布されており、作成するときは自分が使っている互換シェルについてあるていど知っていなければなりません。そういう点で、互換シェルのテーマは Plus! などで切り替えられるテーマと比べて導入するのも自作するのもそれなりの努力を要します。
テーマは、そのテーマで使用するサードパーティーのモジュールとそれが使う画像ファイルなど、それに壁紙や WindowsBlinds のパーソナリティ, Winamp のスキンといったものから成り、テーマによって内容はかなり違っています。そのため、2 ~ 300 kB から数 MB に至るまで容量もさまざまです。
LiteStep で使うテーマは、これまで主に「メジャーサイト」と呼ばれる幾つかのサイトに投稿して承認されてから公開されるという形式で配布されてきました。また、LiteStep のユーザーがそれぞれの自前サイトで自由に配布していることも多く、数多くのテーマを手がけている「テーマ作家」さんたちもいます。さきほどディストリビューションの節で紹介したいたくらさんや、desktopian.org を運営されている tin_omen さんは、長い間テーマを作成・公開されてきたテーマ作家です。ディストリビューションのような幾らか肩肘を張ったスタンスで公開する必要はないので、日本でも多くのユーザーさんが自前のサイトでテーマを公開されています。
但し、2001 年の中頃から 2002 年の初頭にかけて LiteStep のメジャーサイトが相次いで閉鎖するという経緯があったため、現状では customize.org, wincustomize.com, deskmod.com といった「スキンサイト」でテーマを投稿する人が増えています。
2003 年現在、LiteStep のテーマを扱う LiteStep Archive (lstheme.com) というサイトが運営されています。
ディストリビューションに同梱されているテーマは、少なくともそのディストリビューションで整合性が取れており、また動作テストもディストリビューションに同梱されている標準ファイルやコア・ファイルで確認されています。しかしテーマは基本的に個人が自分の環境だけで使えている設定をそのまま配布することが多く、また配布する人も多いので(よほど名の知れたテーマ作家でもない限り)ユーザーからのフィードバックが少なく動作確認に不安が残ります。LiteStep をはじめて使う方に安心して勧められるテーマとしてどれがいいかをいちいち個別に確認する暇など誰にもありませんから、結局はよく知られたテーマ作家さんの作品を勧めるという(「悪~」かどうかはともかく)循環になります。
というわけで、僕のように数年に渡って使い続けているユーザーでも現状のデスクトップへ最適化するのに手間を食うほど、テーマは個々ばらばらな設定と構成で配布されています。例えばどれかお好きなディストリビューションをインストールした後にどこかのサイトからテーマをもらってきて themes フォルダ以下にテーマのアーカイブを解凍したとしましょう。テーマのアーカイブに入っている step.rc で現状の step.rc を上書きしてから LiteStep を再起動する、というのがテーマを気軽に切り替えるふつうの手順ですが、それだけでうまくテーマが反映される見込みはほぼありません。なぜでしょうか? 恐らく、
いま挙げた原因の多くは、これから解説する環境変数などを利用して回避できますが、環境変数そのものが有効に使えない場合もあります。それゆえ、パスが違っているという点に起因するテーマどうしの不整合は、テーマがいつまでもアップデートされるものではないという理由でそれぞれのユーザーに解決を委ねられている問題の一つだと言ってよいでしょう。こうした事情に最初からエントリーユーザーを巻き込むのは、チュートリアルの書き方としてよい方法ではありません。もちろん使い方に窮したら自分で解決するというのが基本であるにしても、わざわざ初めから難所にエントリーユーザーを突き落とす必要はありません。「ね、難しいでしょう? 僕らはこんな難しいものをいぢってるんだ」とヲタク自慢(あるいは情報リテラシーの捏造というか自作自演というか)したいならともかく、このチュートリアルは LiteStep を使うために必須の知識を述べているわけではありませんから、ディストリビューションの範囲でうまく使えている人にまで「本当の、本来の LiteStep の使い方」を押し付けるものではありません。
とは言え、テーマにはテーマの良さがあります。まず、数多くのテーマを集めて公開しているサイト(個人であれなかれ)では、ファイルの転送量に対する課金という経済的な事情を抱えていることもあります。日本でわざわざ転送量課金のレンタルサーバを借りてまでサイトを運営している人は(アダルトサイトを除けば)少ないと思いますが、転送量が限られているレンタルサーバやフリーのディスクスペースを借りている人はもっと多い筈です。このような場合に、他のサイトで既に公開されている標準ファイルをテーマに同梱するのは(そのサイトにとっては)転送量の無駄だと言えるでしょう。
実際、litestep.net というメジャーサイトは、2001 年にそう判断して「標準ファイル(もしくはコア・ファイル)」を同梱しているテーマはお断り」という方針を打ち出しました(2002 年 4 月の段階でこのサイトがまともに機能していないのは、この方針が総スカンを食らったせいではありません)。
標準ファイルなどの共有できるものは別のサイトからビルドやディストリビューションという形で入手してもらうようにすれば、あとは個々のデスクトップ環境を作り出すための特別なファイルをテーマとして配布するだけで十分です。したがって、テーマだとディストリビューションに比べてサーバスペースを節約できます。また、さきほど述べたようにテーマはディストリビューションと比べて気軽に公開して使ってもらうという意味合いが強く、言ってみれば「動作保証なし」というスタンスで公開しても構わないという雰囲気があります(メジャーサイトで公開した場合は、使ってみた人のレビューや質問が表示されるため、あるていどのサポートをする必要があるかもしれません)。
用語の解説でも述べたとおり、「ビルド」はもともとサードパーティー・モジュールの開発者向けに LiteStep の内部的な仕様を知って動作確認してもらうためのベータ版として公開されてきた、標準ファイルのセットです。プログラムのソースコードをコンパイルおよびリンクして .exe, .dll といった実行可能ファイルを作成する工程が一括して「ビルド」と呼ばれているため、「~年~月~日にビルドした LiteStep の標準ファイル」という意味合いから、その日付で公開された標準ファイルのひとまとまりを「ビルド」と呼ぶようになりました(アーカイブ形式で公開されるため、このアーカイブ・ファイルも「ビルド」と呼んでいます)。
何度も言うように LiteStep は GPL に従って開発・公開されているフリーソフトウェアなので、ソースコードも公開されています。したがって、そのソースコードをコンパイルできる環境にあれば誰がビルドを作成しても構わないので、ビルドはあちらこちらのウェブサイトで公開されています。
他にも、海外では少し古いオリジナルのビルドが murphy さんのサイトで公開されていますし、日本でもにゃごすさんのサイトなどでオリジナルのビルドが公開されていました。
なぜ開発チームの配布しているビルドをそのまま再配布しないのかという点については、幾つかの理由があります。まず CVS のように自動でファイルがアップデートされるシステムを使っている場合、残念ながらクラッカーに悪用されるとウイルスの混入したファイルをアップロードされてしまう危険性があります。しかしソースコードを入手すれば、それをテキストファイルとして扱っている限りはウイルスの混入をほぼ 100% 防げます。なぜならソースコードはテキスト形式のファイルですから、それにウイルスが混入しているならウイルス自身もソースコードとして混入している筈だからです。信用できるソースコードと diff など(テキストファイルどうしの相違を比較するツール)で付き合わせすれば、ソースコードのどこに手が加えられているかすぐに分かりますから、確認した上で自らビルドすれば安心というわけです。
開発チームのビルドをそのまま使わないもう一つの理由は技術的なものです。ビルドするのと同時に「デバッグ(debug)」と呼ばれる動作確認と検証を行っている場合もありますし、ビルドを行うときに設定できるオプションを変えている可能性もあります。実際、開発チームのメンバーはバイナリー版の動作をあらゆる可能性に応じてテストしているわけではありませんから、これらの(開発チームのデイリービルドでない)ビルドには「他のユーザーが更に動作確認したもの」という意味があると思ってよいでしょう。
それに、開発チームのビルドは 2001 年から自動的に最新のソースコードからビルドが作成され、上記で紹介した soruceforge.net 内のディレクトリにアップロードされているようです。従って動作確認を全くしていないビルドがアップロードされている可能性もあります。これに対して、他のサイトで公開されているビルドは公開している人が少なくとも自分の環境で動作確認をしています。
ビルドは LiteStep の標準ファイルとサンプルの step.rc や更新履歴ファイルなどだけで構成されているため、テーマは全く付属していません。したがって、ビルド(のアーカイブ)を適当に解凍して litestep.exe を実行しただけでは、設定がほぼデフォルトの LiteStep が起動します。正直言って、"look" という点だけで言えば見られたものではありません(笑。
またディストリビューションと異なり、ビルドの中には開発チームのメンバーですら動作テストをしていないものもあります。ですから、見た目や扱いにくさだけでなく動作保証もないという理由で、はじめて LiteStep を使う人が何の予備知識もないままビルドをおもむろにインストールするのはやめた方がよいでしょう。
しかしながら、標準ファイルを同梱しないテーマの方で特定のビルドを要求することもありますし、メーリングリストやウェブサイトで話題に上がるのはこれらビルドです。また最近のビルドでなければ動かないサードパーティ・モジュールもありますし、深刻なバグが修正されている場合もあり、安定して運用できるのであればなるべく新しいビルドを使う方がよいでしょう。
もちろん、古いテーマを使いたいからビルドはそれにうまく適合する古いビルドでもよいという考え方はできます。また、古いビルドは多くの人に検証されている可能性があるから信頼できると言えるかもしれません。しかし、いくら安定していると言っても 2 年や 3 年も前のビルドへ対応させてテーマを作る人などいませんし、一つのビルドが動作確認の対象となるのは公開されてから(その後に全く新しいビルドが公開されていなくても)せいぜい数ヶ月と言ってよいでしょう。まあ、2001-01-02 のビルドといった例外はありますが。とりわけ日ごとに新しいビルドが出ている場合はすぐに「ビルドの鮮度」がなくなって忘れ去られてしまいます。
こういうわけで、ビルドの場合には長所が短所にもなります。数多くの機能が追加され新しいモジュールとも相性がいい一方で、追加された機能に起因するバグが増えていたり公開された直後の動作確認には不安が残ります。また、皮肉なことですが新しいせいで古いサードパーティ・モジュールが使えなくなる場合もあります(モジュールの作者に連絡がとれなければ、フリーソフトウェアですから当然と言えばそれまでですが、自分で新しいビルドに対応させてソースコードを書き直し、コンパイルし直すしかないでしょう)。こういうわけで、ビルドを使う場合には LiteStep をあれこれいじくること自体が目的でなければ「安定版」と呼べるものを見定めて使うのがよいでしょう。
さてディストリビューションやテーマなどといった LiteStep の公開形式は、以上でいろいろあることがお分かりいただけたと思います。このチュートリアルでは、何度か述べているように 0.24.6 (preview) 版として公開されたビルドのうち、mzks.org で 2002 年 12 月 19 日に公開された日本語対応版のビルドと、多くの人が問題なく使っていると思われる「安定版」のビルドを題材にして、このチュートリアルを進めていきます。
これまで、LiteStep の開発状況やこれからの予定を、主任開発者であった Headius さんが "the State of the Step" という覚え書き(メーリングリストの [Litestep] で不定期に報告されていました)で伝えてくれていました。それによると、0.24.6 を正式に公開した時点で次のメジャーアップデートとなるヴァージョン 0.25 の開発作業に入る予定となっていたそうです。コードネーム「フェニックス(Phoenix)」と呼ばれる次世代の LiteStep は(笑、geOShell など他の互換シェルと基本的な動作のアーキテクチャーを共有するという大きなプランの元で開発が進められ、geOShell の原作者でもあるジェフリー・エリオットさんが中心となって開発していた「ラプター(Raptor)」というプログラムの上で動作するシェルとして開発される予定でした。しかし、既に多くの方はご存知だと思いますが Raptor, Phoenix のプロジェクトはどちらも中止となりました。現在、LiteStep の方は新しい開発チームが 0.24.7 の開発を進行中で、geOShell の方は R6.0 というヴァージョンで COM+ などを利用した独自のアーキテクチャーを実装するようです。
しかし、2002 年中に 0.24.7 の開発と R6 の開発も中止になったようです。0.24.7 はデザインの段階の話を開発者用のメーリングリストでやっているようですが、具体的な話は決まっていないと言ってよいでしょう。
では次に、「なぜビルドを題材にするのか」, 「どういうビルドを題材にするのか」という二点を説明します。
ディストリビューションや(標準ファイル付きの)テーマではなく、ビルドを題材にする理由は簡単です。前者の二つはすぐに入手不可能になり得るから、というのが最も明快な理由です。ビルドの場合は安定版と呼べるものに限って言えばどこかのサイトでバックアップが公開されていると期待できますし、もしなければ誰かのテーマやディストリビューションに同梱されている標準ファイルだけを抜き出して使うこともできます。また、ビルドの場合には必ずしも GPL に従っているとは言えない画像ファイルなどが含まれていないので、当サイトでもそのコピーを配布できます。後のページでビルドの一般的な入手方法は解説しますが、実際には当サイトで配布している(コピーの)ビルドを使っていただければよいでしょう。
ただ、当サイト(がホストされている GMO のサーバ)は外部からの進入にどれくらい強いのか不明ですしファイルのセキュリティーチェックといったサービスもありません。不安がある方は幾つかのサイトで公開されている同じビルドを入手して、ファイル容量などを厳密に比較するくらいのことはやった方がいいかもしれません(ちなみにチェックサムはない)。GMO にホストされている一般の利用者は Cron など使えませんが、このサイトでも配布する以上は、できれば定期的にアーカイブを(たとえ全く同じファイルだったとしても)上書きするくらいはしたいところです・・・というオトナの言い方なので実際にはしないんですけど(笑。ていうか、オリジナルのファイルが同じサーバにあったら Cron 使っても意味ないし。
"Cron" (クーロン)は、UNIX/GNU Linux のサーバで使える自動タスク処理を目的としたプログラムです。商用ウェブサイトで、ログファイルを定期的にバックアップしたりクリアするといった目的に使われることが多い。僕は CGI 経由で Perl のコードを起動し、仕事のサイトを自動更新したりしています。
ビルドを題材にする二つめの理由は、ディストリビューションやテーマは特定の "look and feel" を提供することに主眼があるため、とりわけエントリーユーザーに不要な印象を与える可能性があります(まぁ・・・ウインドウのてっぺんに女の子が座っていたりしてもいいんですが<笑)。なるほど、逆にビルドを題材にすると「LiteStep は何事も手作業で煩わしいし扱いも難しい」という印象を与えるかもしれませんが、何度も述べるようにこのチュートリアルはディストリビューションを使いながら参照するといった使い方を排除しているわけではありません。最初から使える環境がほしいという方は、ディストリビューションを使いながら各ページを参照していただければよいでしょう。これだけ書いてもまだディストリビューションを使わないで LiteStep を試すというなら、あなたは既に手作業で一からデスクトップ環境を作り上げるという作業を望んでいるのです(笑。それに、もしあなたが LiteStep を詳しく使い込むつもりであれば、良くも悪くもいづれ手作業は必要になります。LiteStep を使うために必須ではありませんが、もし必要となったらこのチュートリアルを参照してみて下さい。
まだ理由は考えられますが、いちおう最後の理由として僕自身の趣向を述べておきます。簡単に言えば、白紙の状態からデスクトップ環境を作っていく方が LiteStep を理解し易いと思うからです。ものの仕組みを理解したり自分でそれを使うには、大きく分けて二つのアプローチがあります。一つは既にあるものを参考にして、真似したり一部に手を加えるというものです。もう一つは、先に構造や概念を把握しておくというものです。どちらのアプローチにも利点はありますし、とりわけ学術研究を志している人ならどちらもすべきですが、個人差というか趣向によってどちらのアプローチが好きかという違いはあります。学術研究の末端に携わっていたという経緯から、僕は後者のアプローチを個人的にも好んでいますが、理由はそれだけではありません。LiteStep を紹介している多くのサイトには、そのサイトで公開しているテーマの導入方法を解説するページがあります。これはいまの対比で言うと前者のアプローチに当たります。自分のテーマを解説しているので、制作するモチベーションという点では後者のアプローチよりも優れているでしょう。ですから数も後者のアプローチに比べるとたくさんあります。そういうわけで、当サイトのようなドキュメンテーションを目的とするサイトでは後者のアプローチを取ってバランスを保つのがよいと判断しました(余計なお世話かもしれませんが、別にそういうバランスを意識するサイトだ、といった具合に偉そうに言ってるわけじゃないよ)。
確かに、ビルドを使った解説としては LiteStep 0.24.6 の公式マニュアルがあります。が、解説の足りない点や英語圏のユーザーだけを想定する偏った記述もありますし、なにより日本でオリジナルの解説があってもいいだろうと思いました。そして、このチュートリアルではビルドを題材にして LiteStep を導入してゆく手順を解説していますから、オリジナルの内容だとも言えます(実際、LSD4P のページではこのチュートリアルの第 1 版を「ディストリビューション」の一つとして紹介してくれていました)。
ではこのページの終わりに、どういうビルドを題材にするかという点を述べて締めくくっておきます。日本語対応版として mzks.org のビルドを題材にさせていただく、という点は何度か述べました。しかし、mizu さんのアップデートにばかり頼るのは好ましくありません。できる範囲のことなら自分でどんどん安定版を見つけてアップデートしていくのが望ましいでしょう。すると、どれが安定版で、どの安定版を採用するかという問いが残ります。
用語の解説でも述べているように、「安定版」と言ってもそう言える根拠はあまりはっきりしていません。多くのユーザーによって特に問題もなく使われているという結果論に基づいているので、どのビルドであれあなたの環境で特に問題がなければ、あなたがそれを使い続けることに誰も異論はないでしょう。例えば(日本語を含む)マルチバイトの処理に問題があっても、2001 年から 2002 年にかけて幾つかのビルド(この期間は shellfront.org のビルド)が「安定版」として扱われてきました。しかし、僕ら日本のユーザー(とりわけユニコードにすら対応していない Windows 9x/Me のユーザー)から見れば「日本語のフォルダ名がついたエントリーをポップアップで展開しようとすると LiteStep が落ちる」という、全く使えないビルドもありました。
ですから、ここで推奨するビルドを「安定版」と言うときの根拠も、おおむね海外(特に英語圏)のユーザーが不具合を [Litestep] メーリングリストで報告しておらず、日本語の処理に関しては mzks ビルドで対応できるという二点しかありません。その上で、
という組み合わせを、このチュートリアルの題材としておきます。この点はチュートリアルの改訂に伴って変更する場合もありますので、ご注意下さい。